メーカー

良い点

・各部品が高品質
・超軽量（UL）
・丈夫
・悪天候に強い
・設営設営が簡単
・２重ドア有り
・ファストピッチ可能　
・ペグが必要数がきちんと付属されている
・ペッグがDAC社製でY字形
・ガイラインがフルセットで付属している
・収納サイズが小さい
・ベンチレーションが吹き流し式 (煙突式)
・ポールに滑り止めのゴムが付いている

悪い点

・ドアと前室が一つずつしかない
・天井が低い
・前室、室内ともにとても狭い
・値段がとても高い
・ドアをメッシュにするためのチャックがドアの外にあるので室内からの開閉ができない
・吹き流し式のベンチレーターは張りがないのですぐに潰れてしまい、換気がうまくできない

住み心地（Livability）

室内は他のテントと比べるととても狭く、特に天井が低いので圧迫感を感じてしまいます。





前室は1つだけで、広さも今回テストしたテントの中で2番目に狭く、ブーツくらいしか置くことがでません。このテントを2人で使用する場合だと、バックパックなどの荷物は前室に入りきらず室内入れることになるので、室内はとても窮屈になってしまいます



室内面積は2.73㎡と2人用のテントとしてもやや狭くなっていますが、天井が低いせいもあって、さらに狭く感じてしまいます。室内にはとても小さなポケットが1つしかないので、荷物を収納する場所がなく不便なことや、ユニロフト対応となってはいますが別売りなので、室内の収納を増やすには追加で購入しなくてはなりません。




このテントの1つの特徴吹き流し式(煙突式)のベンチレーションシステムです。天井にある吹き流し(煙突)が寝ている間に人から出る水蒸気をスムーズに排出できるようになっています。ただし吹き流し式(煙突式)のベンチレーターは風が強いと形状が崩れてしまったり、雨風が強いときにはベンチレーションを閉めてあげないと水が室内に入ってしまうことがあるので、どちらの場合も効率的なベンチレーションができないことがあります。
このテントの吹き流し式(煙突式)のベンチレーターは、開けた状態でも下向きに垂れて潰れてしまっているので、ベンチレーターのみでは効率良く換気することができません。そのためドアをメッシュにして室内のベンチレーションを良くしようとするのですが、ベンチレーションが良くなる反面、寒い季節には室内の気温も下がるので寒い思いをしてしまいます。逆に室内を温かく保とうとメッシュを閉めてしまうと、今度はベンチレーションが悪くなり結露を起こしやすくなってしまいます。このようにテントのベンチレーションをドアのメッシュでしようとすると、“寒さ”を我慢するか“結露”を我慢するのかを選ばなくてはいけません。
逆にドアのメッシュを全開にしてあげると、風通しとベンチレーションがとても良くなるのかといえば、ドアのメッシュの面積がそれほど大きくないのと、やはり吹き流し式(煙突式)ベンチレーターに風が通りにくいこともあって思ったほど良くはなく、真夏のような暑い時期でもそれほど快適ではありません。

重量（Weight）

MontbellStellar RidgeはULテントで、重量わずか1.65Kgとすばらしく軽量に作られています。この重量だとバックパックに入れて1人で運んでも疲れることのない重さです。また今回テストしたテントの中で一番軽量なテントでした。

収納サイズ（Packed Size）

収納サイズは他のテントと比べてコンパクトになっています。このテントはポールと本体が別々のスタッフサックに収納するようになっているのですが、ポールの収納サイズのほうが本体の収納サイズよりも長くなっているので、ポールと本体をまとめて収納しようとすると写真のようにポールだけがはみ出してしまうような形になります。本体とポール別々に収納するか、一緒にまとめて収納するかはバックパックへのパッキングのスタイルや好みにもよると思います。

悪天候に対する強さ／耐久性（Weather＆Durability）

このテントの悪天候に対する強さと耐久性は最高です。テントの素材には一般的に、ナイロン、ポリエステル、リップストップナイロンやリップストップポリエステルなどが使われていますが、ステラリッジにはこれらよりさらに強い”バリスティクリップストップナイロン”がフライシート、キャノピー、またフロアにも使用されています。素材は全て30デニールと低い数字になっていますが、生地自体がとても丈夫なので強度的には問題ないのかと思います。フライシートとフロアの水圧ヘッドはともに1,500㎜で、フライシートについては一般的な値になっていますが、フロアに関してはもう少し高くても良かったのではないかと思いました。ちなみにフロアとキャノピーはともにPUコーティングと通気撥水加工が施されています。ポールは直径8,5㎜のアルミ合金(A7001)と軽量・高強度のものが使われています。
一般的に「UL」テントは軽量な素材を使ったり生地を薄くするなどして軽量化されているのですが、耐久性を犠牲にされていることがほとんどです。しかしこのテントは超高品質の素材と生地によって、強度を犠牲にせず超軽量化と高強度という相反する性能を両立させています。またこのテントで特筆すべき点はガイラインアタッチメントの構造です。このテントのガイラインアタッチメントのポイントが他のテントとは違い、フライシートではなく直接ポールに付いているので、ガイアウトしたときにさらに強固にテントを固定できるようになっています。とても素晴らしいデザインだと思いまいした。

適応性（Adaptability）

フットプリントがあればファストピッチ可能なテントとなっています。

設営（Set Up）

設営はシンプルで簡単です。キャノピーは2本のポールをスリーブに通すだけ、フライシートの固定もグロメットをポールの先端に差し込むだけで固定完了です。ガイアウトはガイラインアタッチメントがポールに直接付いているので、フライシートの隙間から引き抜くのに最初だけ少し慣れが必要かもしれませんが問題ないレベルだと思います。

ユザビリティ／その他（Ergonomics＆Extras）

このテントのポールには滑り止め用のゴムが付いていて、手袋を履いていてもポールが滑りにくく、また掴み易くなっています。他のテントポールにはない役立つ便利な機能だと思いました。もう1つ良かった点は、付属のペグです。他のテントのペグは設営するのに必要最低限の数しか付属しておらず、また品質も良いとは言えるものではありませんでした。ステラリッジのペグはDAC社製のV字形状で、しかもテントの設営とガイアウトに必要な数だけフルに付属している点でユーザビリティが高い点だと思いました。




このテントについて1点だけ不満な点を挙げるとすると、ドアをメッシュにするのに外側からしかチャックの開閉ができないことです。室内にいてドアをメッシュにしたいときには一度テントの外に出るしかないので、ベンチレーションの調整にとても不便を感じてしまいます。やはりメッシュは室内から開閉できるのがベストだと思います。

まとめ

このテントのキーワードは”UL”、”ハイクオリティ”、”スモールスペース”です。何よりも超軽量で高品質の素材と生地、必要最小限の室内スペースがこのテントの特徴となっています。よって、テントは寝られるだけでいいと考えているような室内スペースを重視しない方、軽量でより長く、より速く、より遠くまで縦走したい方、荷物をそれほど持たないのでテント内の収納スペースもそれほどいらないようなULスタイルの方にお勧めのテントとなっています。
逆に、室内でゆったりしたい方、荷物を沢山持っていくような方にはお勧めはできません。価格が約4万円と決して安くはありませんので、使う目的をしっかりと考慮した上で購入することをお勧めします。