テントのテスト方法

テストするテントの選び方

テストするテントは業界リーダーのテント、リーズナブルなテン ト、3シーズン若しくは3シーズン+のテントを考えて選んでいま す。GWearでは低い山、雪が溶けてから降るまでの間でキャンプする ことを基準にしているため、今回は4シーズン、エクスペディション、 ファミリーテントなどはテストしていません。

そして、経験の少ないキャンパーを考えてテストテントを購入し たため、ULテントは1個しかテストしていません。Montbell Stellar Ridge 以外のテントはエントリーレベルテントです。重量は普通で値 段はできるだけ安い方のテントを選びました。

もちろん、買ってはいけないテントもテストしました。

テスト方法

2014年から少しずつテントを購入し、その都度実際にキャンプで使 用しました。全テントが揃った時点でコントロールテストを行いまし た。全テントを一気に設営して、テント一個ずつ細かいチェックをし ながら各テスト項目に点数を付けました。コントールテストは少なく ても3回は行いました。

テントのコントロールテスト

採点方法

テントは9つのカテゴリーで採点しています。

• 住み心地（Livability）
• 重量（Weight）
• 天気に対する強さ（Weather）
• 耐久性（Durability）
• 適応性（Adaptability）
• 設営のし易さ（Ease of Set-Up）
• 収納サイズ（Packed Size）
• ユーザビリティ（Ergonomics）
• ペグとガイ（Pegs and Guy Lines）

各カテゴリーは、それぞれを0点~100点で採点します。 採点はリード テスターのガイドラインに沿って行います。 全カテゴリーの採点には厳 格な規則はありませんが、重量と適応性には基準があり、その基準をベ ースにして客観的なスコア付けをしています。

採点は以下のフローで行います。

1. リードテスターが各テスターへガイドラインを説明します。
2. 各テスターが各カテゴリーをテストし採点します。
3. 各カテゴリーの採点結果を元に最終スコアを算出します。
4. 最終スコアを元に総合ランキングを出します。
5. テスト結果とランキング結果をテスター全員で打合せします。
6. 結果の妥当性に疑問が残る場合は再度テストを行い採点し直します。
7. 最終スコアは各カテゴリーの採点結果を元に算出します。

各カテゴリには採点比率を設定しており、「カテゴリーの点数」×「採点比率」が各カテゴリの最終スコアとなります。

採点比率は以下の通りです。

住み心地（Livability）

この項目は『悪天候になり、テントの中で過ごすことになっていた ら、どれぐらいゆっくりできるかな?』 と考えながらテストしていま す。 チェック項目は以下を基準にしています。

• 定員が入って窮屈でないか
• ちゃんと背中を伸ばして座れるのか
• テント内にギアを置けるのか
• 人数分のドアがあるのか
• 人数分の前室があるのか
• 前室はどれぐらい広いか
• 人数分のスリーピングパッドを入れられるか
• 定員でゆっくり横になれるか

MSR Hoop 前室

重量（Weight）

重量に関しての世界的なスタンダードはありませんが、エントリー レベルの2人用テントは2.2〜2.6kgのものがほとんどです。私たちは2 人用テントの重量の基準を2.4kgにし、半分に割った1.2kgを1人分の 基準としています。1.2kg/人を基準にしている理由は、テントを2人 で半分ずつに分けて運ぶことを考えているからです。

各テントについて1.2kgよりもどれだけ軽いか重いかを計算し、そ の差を20g=1点とします。それを基準スコアの70点から足し引きし てそのテントのスコアとします。

例えば Montbell Chronos Domeの重量は2.4kgなので1人当り 1.2kgとなり、ちょうど70点というスコアになります。Doppelganger Cocoonは1人当たりの重量が1.7kgであり、1.2kgより500g重いので 500÷20=25を70から引いた45点が重量のスコアとなります。

そし て、Montbell Stellar Ridgeは1人あたりが832gであり、1.2kgよりも 368g軽いので、368÷20=18.4を70に足した88.4がスコアとなり ます。

天気（Weather）

この項目は『悪天候、特に風、雨と雪に対して、テントがどれぐら い耐えられるのか?』 と考えながらテストしています。 チェック項目 は以下を基準にしています。

• 強風のときにテントの形が簡単に変形するか
• フライシートがインナーテントに接していないか
• ポールは何本あるか
• ポールの直径は何mmか
• インナーテントはクリップで固定かスリーブで固定か
• ガイアタッチメントはいくつあるか
• ガイアタッチメントの位置はどこにあるか

1. Hilleberg Nallo GT　2. Karrimor X-Lite　3. mont-bell Stellar Ridge -17℃ 真冬のフィールドテスト

耐久性（Durability）

この項目は『このテントはいつまで持つのか?』 と考えながらテス トしています。 チェック項目は以下を基準にしています。

• どんな素材
• 生地が使われているか
• 生地は何デニールか
• DWR加工されているのか
• PUコーティングされているか
• どんなペグが使われているか
• どんなポールを使われているか
• ガイアタッチメントポイントは丈夫か

適応性（Adaptability）

テントにはいくつかの設営方法があります。皆さんがテントをイメ ージすると、おそらくフライシートが設営されている状態をイメージ すると思いますが、暑い時や天気の良いときはインナーだけを設営し て寝る場合もあります。

この項目は『いくつの設営方法が可能か?』 と考えながらテストしています。ダブルウォールテントの場合、イン ナーだけでの設営とフライシート+インナーの設営ができるのが標準 なので、このスコアを70点とします。

シングルウォールテントの設営 仕方は一つしかないので適応性が低くなり、スコアは60点です。

ファ ストピッチ可能なテントは80点、ドライピッチ可能なテントは90点 となります。

GoLite Shangri-Laはファストピッチとドライピッチができ、しかもポール無しでの設営も可能なため95点となりました。点数が高いのは、環境や天気に合わせて自由に設営できるテントです。

ファストピッチとドライピッチが可能な Doppelganger Cocoon	ポールを使わずに設営可能な GoLite Shangri-La 3

設営（Set Up）

この項目は『テントの設営は簡単か? 5分以内で設営できるか?』 と 考えながらテストしています。

収納サイズ（Packed Size）

この項目は『バックパックの収納スペースをどれぐらい取るのか』と 考えながらテストしています。 テントそれぞれを付属のスタッフサッ クに収納してサイズを比べ、また、いろいろなバックパックに外付け してテストしています。

ユーザビリティ（Ergonomics）

この項目では基本的な機能、あって当然の機能だけではなく、各メ ーカーがどこまでユーザーの事を考えて便利な機能を付けてくれたの かをチェックしています。 メーカーによっては、色々考えてはくれて いるものの使えない、またはむしろその機能を追加した事によってテ ント自体が重くなっていたり、不便になっていたりするものもありま す。 チェック項目は以下を基準にしています。

• ポケットの数、サイズ、形はどうか
• ギアロフトが可能か
• クリップ、バックル、チャックの開け閉めは簡単か
• ガイラインアジャスターの調整は簡単か
• ポールとポールアタッチメントが色で識別されているか
• ガイラインが反射タイプか
• スタッフサックはコンプレッション可能か

マグネットドアがとても使い易い Nemo Galaxi

ペグとガイ、その他（Pegs, Guys & Extras）

この項目は『付属品はちゃんと揃っているのか?本体以外の物の品 質はどうか?』 と考えながらテストしています。チェック項目は以下 を基準にしています。

• ペグの数は十分か
• ペグの素材と形は何か
• ペグにヒモが付いているか
• ガイラインの数は十分か
• ガイラインは反射タイプか
• フットプリントが付いているか
• ギアロフトが付いているか
• テントリペアーセットが付いているか
• エマージェンシーポールスリーブが付いているか

GWearメンバーが好きな機能

• 反射ガイライン
• すぐに曲がってしまう丸いアルミペグ以外のペク
• ヒモ付きのペグ
• ユニバサールロフト可能なギヤロフト
• 大きなサイドポケット
• メッシュに切替可能なドア
• 十分な数のペグとガイライン
• 広い前室
• ファストピッチ可能なテント

北海道せたな町 狩場山 1520m

1. mont-bell Chronos Dome　2. MSR Hoop　3. Karrimor X-Lite 北海道中央部 大雪山 裏旭岳 2075m