夏の時は脱水症状と熱中症を意識して、冬の時は凍傷と低体温症を意識するのは一般的ですが多くのキャンパーは春、秋の登山なのに低体温症になり、冬なのに脱水症状になるケースが非常に多いです。これからそれぞれの症状・対策と参考になる『熱指数』『風による体感温度』を簡単に説明したいと思います。
脱水症状・熱中症
夏の山が涼しくて登山に快適ですが気温が上がると熱中症の恐れも上がります。熱中症になるのもう一つの理由は湿度です。外気温が25℃で湿度が70%になっている時は実際に感じる温度が32℃です。(もちろん、体質、環境、風、着ている服などによって感じる温度は異なる場合があります。)この気温と湿度の関連性が熱指数(heat index)と言います。熱指数は湿度による感じる体感温度のことです。
細く説明するのに熱学と流体力学の話になってしまうため、簡単に説明します。熱い時、体は体熱を保つため汗をかきます。湿度が低い時は汗がスピーディーに蒸発し、体のクールダウンが可能となっています。しかし、湿度が高い時は空気に含まれている水分が多くて体がかいた汗は空気に入る隙間がなくなり、汗が蒸発しにくくなっています。そのため、体がオーバーヒートになりやすくなっています。
データ出典:NOAA/NWS
暑くて湿度の高いとき、熱中症にならないための一番良い方法はもちろん運動をしないことですが充分に気をつければ安全にアウトドアを楽しめることが可能です。
脱水症状
脱水症状は簡単に言いますと体から出る水分量(汗、呼吸、尿、便)が体に入れる水分量(水やスポーツ飲料など)より多い時に発生する病気です。
よくある症状
頭が痛い
唇が乾いている
舌が腫れている感じする
集中力が落ちている
汗がかかなくなっている
喉が渇いている
尿が出なくなっている
尿が出てても色が濃くて『重い、どろっと』した感じする
対策
脱水症状にならないための一番良い方法は水分俸給することです。昔、先輩に『喉が渇いてたらもう遅いよ』を言われ、今でもこの名言が頭に入っています。僕らはできるだけ1日4Lの水分を飲むようにしています。登山中、30分ごとに250〜500mlの水やスポーツ飲料を飲んでいます。喉が渇いてなくても飲む。水分俸給をきちんとやれば尿が普通に出て、水のような色と透明度が理想です。
そして、着ていく服も大切です。できるだけゆるい服、透湿性のある服、可能なら短パン、半袖、綿素材が良いでしょう。きつめな服、透湿性の低い服、長いズボン、長袖を着ると体温が上がりやすく、汗の量が増えるからです。綿素材の特徴は水分が綿の糸に吸収され、吸収された部分が皮膚に接し、蒸発現象と熱伝導により、体のクールダウンが早くなります。(冬は綿でできている服をやめましょう。)一方、人工糸(ポリエステル、ナイロン、アクリルなど)は水分を吸収できないため、皮膚にある水分(汗)を外に出す働きがあるので蒸発現象と熱伝導が難しくなり、体のクールダウンが遅くなります。(冬は綿ではなく、人工糸のみの服を着ましょう。)
症状が出た時
すぐに運動をやめ、可能なら涼しい場所に移動し(木陰、風通しの良いところ)、水分俸給してください。服のチャック、ボタンなどを開けて下さい。下山準備して下さい。本人が『もう大丈夫、行ける。』と言っても下山するのが一番オススメです。無事下山して、症状がまだあるようでしたらすぐに病院に行きましょう。
熱中症
簡単に言いますと熱疲労は体がオーバーヒートの時の病気です。外気温が高い時、激しい運動をしている時、水分不足になっている時、塩分不足(ナトリウム)が熱中症になる一般的な原因です。
よくある症状
急に汗の量が増えている
休憩時間と回数が増えている
立つと目眩する
体がだるくて『重い』感じする
尿が出なくなっている
出てても色が濃くて『重い』感じする
筋肉がつった
心拍数が急に上がる
いつもより疲れている気がする
いつもより長く休憩をとったのに『立ちたくない』気分になっている
吐き気
肌色が悪い
対策・対処
熱中症は脱水症状の症状に似ている部分があり、脱水症状になってから熱中症になるケースもあり、同時発生の場合もあります。脱水症状の対策も熱中症の対策にもなりますが熱中症の場合は以下対策もあります。
1. 水だけを飲まないでスポーツ飲料も飲みましょう。熱中症になる1つの理由は塩分不足(ナトリウム)です。汗には体が必要な塩分も含まられていますので塩分もとるようにしましょう。個人的には飲むものはできるだけナトリウム含むスポーツ飲料にし、水は料理のためだけにしています。
2. いつもより休憩の回数を増やし、休憩時間をもっと長くすることが良いです。可能なら木陰のところ、風のあるところがベスト。
3. 熱指数(heat index)を意識するようにしましょう。湿度が60%以上ですとかいた汗が蒸発しにくくなり体温が上がる傾向となります。上記チャートの黄色の『危険ゾーン』の時はしっかり気をつけて、オレンジ色、赤い色の時、登山を辞めることがオススメです。
4. 行動のペースを落とすことで体温維持が可能となり、オーバーヒートになりにくくなります。
症状が出た時
すぐに運動をやめ、可能なら涼しい場所に移動し(木陰、風通しの良いところ)、水分俸給してください。服のチャック、ボタンなどを開けて下さい。できるだけ服を脱いだ方が良いです。下山準備して下さい。本人が『もう大丈夫、行ける。』と言っても下山するのが一番オススメです。無事下山して、症状がまだあるようでしたらすぐに病院に行きましょう。
まとめ
山に行く前に天気予報を見て、気温と湿度を意識して、熱指数を調べて『行く?』か『やめよう。』かを決めましょう。行く事にした場合、適切な服装、十分な水分補給する、行動ペースを落とす、休憩回数を増やす、休憩時間を長くする事で脱水症状と熱中症になりにくくなります。症状が出た時、できる限り木陰の場所、風通しの良いところに移動し、水分補給を行い、チャックやボタンを開け、できるだけ服を脱いで、ゆっくり休んで下さい。回復したら下山するのが強くオススメします。症状が中々治らない場合、若くは悪くなった場合すぐに病院に行って下さい。
次回のテーマ:『氷点下になってないのに低体温症になる原因』
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Hapila (脱水症状)
OMRON(熱中症)