第13位	SOTO MUKA Stove SOD-371
	ソト ムカストーブ　SOD-371

メーカー

良い点

・プレヒート不要
・緊急停止機能付き
・燃料ボトル内のエアー抜きが楽
・長くて柔軟性のある燃料ホース
・沸騰時間が早い
・ガソリンストーブにしては軽量
・燃料ポンプに付いたスタビライザーによりに燃料ボトルの安定性が高い
・燃焼時に煤が出ない
・燃料の注入が楽な広口サイズの燃料ボトル

悪い点

・ゴトクの直径がやや小さい
・ポンピングの必要回数が多い(約100回必要)
・燃料ホースと本体の接続部の耐久性にやや不安がある

燃費（Fuel Economy）

コントロールテストでは燃料(※1)消費量14g、燃費(※2)は¥19.4でした。全体の平均(¥ 21.6)やガソリンタイプの平均(¥17.9)と比較すると、重量あたりの単価が高いガスストー ブよりも安く、液体燃料ストーブの中ではやや高いのですが、全体的にみて燃費は良いほ うです。
※1 燃料はホワイトガソリン
※2 テスト条件:9.5°C、500mlの水を直径170mmのステンレス製のクッカーを使い、 沸騰までに使った燃料のコスト

沸騰時間（Boil Time）

コントロールテストによる沸騰時間(※)は2分20秒と、ガソリンストーブ全体で2位、すべ てのストーブの中でも3/26位と、とても沸騰時間の短いストーブです。まさに素早く料 理をしたいキャンパーにピッタリ。気温が氷点下になる冬季や天候の悪い時など、できる だけ早く暖かい飲み物や料理を作りたいときに、この沸騰時間の早さのありがたみを体感 できるでしょう。
※テスト条件:9.5°C、500mlの水を直径170mmのステンレス製のクッカーを使い、沸 騰までにかかった時間

燃料対応性（Adaptability）

燃料はホワイトガソリンと、そしてなによりうれしいのが、ホワイトガソリンに比べ価格 の安い自動車用レギュラーガソリン(無鉛)を、燃料ノズルの交換を必要とせずに使えてし まうこと。しかも燃焼時に”すす(煤)”も出ずに、いたって普通に燃焼してくれるのです。 これには感動。強いて言うのであれば、ノズルを交換する作業が増えてもよいので、灯油 も使える仕様になるとさらに汎用性が上がり、使い勝手がよくなるのではと思ったりもし ました。

収納サイズ（Packed Size）

MUKA STOVEはガソリンストーブがゆえ、ガスストーブに比べもちろん収納サイズは 大きいのですが、他のガソリンストーブの中ではコンパクトなほうで、テストした8個あ るガソリンストーブの中では2番目に小さいなストーブです。全高が低く、ゴトクの直径 も小さく、また燃料ホースのフレキシビリティが高いので、とてもコンパクトまとめてに 収納することができます。また収納方法もシンプルでストレスなくできるのも良い点。

重量（Weight）

テストしたガソリンストーブの平均重量は404.3g、対してSOTO MUKA(ソト ムカ)の 重量は333gで、全ガソリンストーブ8個中2番目に軽量。これは350mlの缶ビール以下の 軽さです。

安定性（Stability）

地面からゴトクまでの高さは6.8cmと全体の平均(8.2cm)より低く低重心なので、基本的 に安定性は高いストーブ。ただしゴトクの直径が、全ガソリンストーブの平均(16.5cm)に 比べやや小さめ(15cm)なことろが気がかりな点でもありました。液体燃料ストーブの魅 力の1つは、やはり高出力と大きくて安定性のあるゴトクによる大人数の料理にも対応で きることでしょう。それでも2lくらいまでの容量のクッカーであれば安定性に関しては 余裕ですので、見た目であきらかにバランスが悪いほどの大きな鍋でも載せない限り、そ れほど心配するほどでもないでしょう。

その他（Miscellaneous）

まとめ（Conclusion）

それほど悪くない燃費と自動車用ガソリンも使える燃料対応性の高さ。また比較的軽量で コンパクトながら、素早い沸騰時間と安定性を併せ持つなど、オススメしない理由が見当 たらないほどの素晴らしいストーブなのがこのMUKA STOVE。上記までの項目で説明 した以外にも素晴らしい点が多々あるのでまとめてみました。

まずはなんといっても、ガソリンストーブの点火前の儀式の1つとも言える”プレヒート” が全く必要ないこと。ガソリンストーブの点火にはまずフューエルエレメントを加熱し、 エレメント内の燃料を気化させるこの”プレヒート”(pre-heat=「事前に暖める」)と呼ば れる作業があります。このプレヒートは、ストーブによって簡単にできてしまうものから、 とても手間がかかるものまでさまざまあるのですが、このMUKAストーブ場合それが一切 ないのが素晴らしいところ。SOTOの高い技術により、ポンピングしてすぐに使えてしま うのです。これまで長年ガソリンストーブを使ってきて、火力は強力なもののプレヒート の煩わしさが、ガソリンストーブを使うときの1つの難点でもあっただけに、初めてこの ストーブを使ったときには目からウロコ状態。本当に素晴らしい機能だと思いました。



次にプレヒートにつきものの”煤(すす)”が全く出ないこと。この煤の量もストーブにより けりで、MSR Whisperlite International & Universalのようにひどく煤の出るものか ら、Primus Express VF Spiderのようにほとんど出ないもの。またその中間くらい のMSR Dragonfly、Optimus NovaやBulin BL100-T4などがあるのですが、 MUKAストーブの場合そもそもプレヒート自体がないので煤は全くでないのです。点火し た直後のまだ炎が完全に安定しきっていない状態のときですら煤は出ず、自動車用ガソリ ン(赤ガス)を使用したときにもそれは同じ。本当に素晴らしい点です。



次に緊急停止機能が付いていること。SOTO MUKAの火力調整のコントロールダイヤル は、奥に押し込むことでエアーと燃料の両方の供給を絶つことにより、素早い消火を可能 にしています。これまで火力調整バルブを急いで閉めること以外に、急いで消火する手段 はなかったこれまでものから、安全面が飛躍的に向上してます。これは他のどのガソリン ストーブにもなかった素晴らしい機能であるとともに、安全面に関しては他のどのストー ブよりも優秀なストーブです。

次にあげておきたいのが、使用後に燃料ボトル内のエアーを簡単に抜くことができること。 一般的なガソリンストーブの場合、ボトルに取付けたポンプをゆっくり慎重に開けながら 燃料ボトル内の高圧のエアーを抜いていく作業があります。その際ボトル内に燃料が残っ ているとどうしてもエアーと共に燃料も噴き出してしまい、それが手にかかるならまだし も目に入ってしまう可能性も無きにしもあらずで、またホワイトガソリンの場合揮発性が とても高く、厳冬期には肌に触れてしまうと、気化熱によって凍傷になってしまう恐れさ えあるのです。その点ボトル内のエアーをリリースすることのできる「Air」機能を持つこのストーブは、安全面だけではなく使い勝手の面でも他のどのストーブよりも優れている のです。する恐れがあります。フューエルボトルを空けずにエアー抜きできるのが本当に 素晴らしいです。安全面だけではなく、楽さに関してまたトップだと思っています。

次に燃料ボトルの安定性が高いこと。基本的にほぼすべての液体燃料ストーブの燃料ボト ルの形状は円柱で、これが地面の悪い場所や特に雪の上では滑って不安定この上なく、悪 天候のときには料理に集中できないことすらあります。その点SOTO MUKAには、ポン プ本体に取付けられたスタビライザーにより、安定性を飛躍的に向上させています。単純 なのですが、今まであるようでなかったとても便利な機能です。



素晴らしいデザイン、使い勝手の良さ、高い安全性など良い点ばかりしか見当たらない SOTO MUKA STOVE。そしてなにより、これまで海外メーカーが中心だったガソリンス トーブのなかに登場した数少ないMade in Japanのこのモデルは、日本製ならではの優れ た機能とパフォーマンス、使い勝手の良さを使い始めた瞬間から体感することができるで しょう。アメリカのバックパッカー誌Editor’s Choice Award 2011受賞をはじめ数々の 賞の受賞がこのストーブを素晴らしさを物語っています。



ちなみに、あまりの素晴らしさにテスターの1人は、このストーブを個人用のストーブに しているほどです。