GWear(グウェア)では函館を拠点に登山ギアのテスト → ランキング → レビュー記事の作成を行っています。
ストーブのランキング(総合, 総合スコア)
第23位 | EPI Split S-1026 |
イーピーアイ スプリット S-1026 |
64.7 |
15,000円 |
燃費 | ||
沸騰時間 | ||
燃料対応性 | ||
安定性 | ||
重量 | ||
収納サイズ |
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メーカー
EPI Gasは1961年にイギリスのストックポートという町で設立された燃焼機器メーカーです。地元の町に残る伝統的な技法に当時の最新技術を加えた安全性の高いガスストーブとランタンの生産を始めたのが始まりです。1973年にはセルフ・シーリング・セーフティ・バルブを発表。カートリッジに直接バーナーを取り付けることができるため非常にコンパクトなガスストーブの設計が可能となりました。1975年に発表したバックパッカーストーブは各国の山岳遠征隊や冒険家などの称賛を得てベストセラーとなりました。1994年からは日本国内での製造となりました。ブランド名のEPIは「Euro Pleasure International」の頭文字をとったものです。
良い点
・高い安定性
・火力の調整がとても細かくできる
悪い点
・燃費がやや悪め
・収納サイズが大きい
・重量の重さ
・セットアップがやや面倒なところ
燃費(Fuel Economy)
コントロールテストでは燃料消費量10g、燃費は¥23/500ml(※)と、カートリッジタイプの平均値(¥19.26/500ml)よりもややコストがかかるようです。ちなみに最も低燃費だったJetboilシリーズのZIPやMiniMoの燃料消費量(5g、¥11.5)のちょうど2倍の消費量ということを考えると、使い勝手や機能面こそ違えどやや大きな差に感じてしまいます。またEPI Split S-1026と同じ燃料消費量のカートリッジタイプのストーブに、Snow Peak Giga Power Micro-Max UL、Primus Ultra Burner P-153、Southfield DX3000Tなどがあります。
(※テスト条件:9.5℃ 500ml の水を直径170㎜のステンレス製のクッカーを使い沸騰までに使った燃料のコスト)
沸騰時間(Boil Time)
コントロールテストでの沸騰時間は2分49秒(※)と、ガソリンストーブ並みの高出力(3,600Kcal/h)を謳っている割にはそれほど優秀なタイムではなく、全体で10/26位、カートリッジタイプのなかでは5/16位という結果でした。極端に高出力なガソリンストーブやジェットボイルシリーズのような高効率ストーブと比較すると若干見劣りしてしまうことは確かなのですが、実際に使うとほぼ不満のない数値だといってよいでしょう。
((※)テスト条件:9.5℃ 500ml の水を、直径170㎜のステンレス製のクッカーを使い、沸騰までに使った燃料のコスト)
また屋内で行われるコントロールテストとは違い、実際のフィールドではどんなに天気が良くてもまったくの無風状態ということはまずありえません。それゆえバーナーヘッドやゴトクの耐風性が沸騰時間に大きく影響するのですが、このEPI Split S-1026のバーナーヘッドにはSFPM(シンタード・ファイバー・ポーラス・メタル)と呼ばれるEPIが独占使用できる素材が使われています。これは髪の毛よりも細い特殊金属を焼結させ一定の密度で圧縮することで、高出力に必要となる理想的な炎口密度を小さなバーナーヘッドに確保しているそうです。その結果、炎がバーナーヘッドから離れて燃焼する“リフティング”という現象を抑えることができ、耐風性もあるとのこと。確かに炎は最小から最大火力に至るまで、バーナーヘッド根元から全体に満遍なくしっかりと立ち上がっているように見えます。
また“マイクロアジャスト機構”と呼ばれる火力調整機能は微調整が良く効き、極弱火の“とろ火”から最大火力までキメ細やかに火力をコントロールすることができるので、ラーメンやパスタを茹でるときに必要な“吹きこぼれしない程度の絶妙な火加減”の調整や、焦げ付きが気になる料理をする際にそのアドバンテージを発揮するでしょう。さらに火力を細かく最適な火加減に調整・維持できるという点は、必要以上の燃料の消費を抑えることにもつながるので、実際に料理をした時の“実燃費”にも良い影響があるはずです。テストした他のどのメーカーのストーブよりも火力調整を細かにできるのがEPIストーブのラインナップの大きな魅力です。
燃料対応性(Adaptability)
燃料はカートリッジ(ガス)のみです。
収納サイズ(Packed Size)
見た目はまさに燃料ボトルのないガソリンストーブそのもの。安定性が高い反面、収納サイズを犠牲にしてしまうのがカートリッジ分離型の宿命なのですが、それでも「ちょっと大きいかも…..」と感じずにはいられないのが正直なところです。
SOTO MUKA SOD-371やOTIMUS NOVAのように、いくつかのガソリンストーブはゴトクを兼ねた脚を非常にコンパクトに折りたたむことができますが、EPI Splitの場合バーナーヘッドを中心に回転させて1ヶ所に集めるだけの単純な方法をとっているので、ややまとまりに欠ける印象を持ちます。またバーナーヘッドが大きいがゆえに、付属のハードケースに収納したときにできるデッドスペースも気になるところです。
もう1つ不満な点としてあげたいのがセットアップのしにくさ。ゴトクを兼ねた脚はいまいち適切な開き具合を調整するのに手間取るのに加え、セーフティリングと呼ばれるゴトクの溝にはめ込んで、ゴトクを安定させるリングの固定がなかなかしにくいのがなんとも歯がゆいところ。
重量(Weight)
重量は234gとカートリッジタイプのストーブの中で最も重いストーブでした。やはりカートリッジ分離型はホースをはじめ部品点数が多くなるのと、安定性を高めるために大型化されたゴトクを兼ねた脚があるためどうしても重くなってしまいます。
安定性(Stability)
「重い」とか「コンパクトさに欠ける」など今のところいろいろ不満な点ばかりが目立っていましたが、カートリッジ分離型唯一の、そして最大の利点が重心の低さからくる安定性の高さでしょう。理由は簡単。同じ大きさで同じ重量のクッカーを載せるのであれば重心が低ければ低いほうが安定するので、大型のクッカーを使ったり積雪期に不安定な雪の上で料理をするような場面でそのアドバンテージが活きるからです。
また意外と便利なのが火力調整をカートリッジ側でできるという点。一般的なカートリッジ直結タイプを使う人が一度は経験するのが、「加熱中に勢いよく吹きこぼしてしまう」⇒「火力を弱めようとあわてて火力調整バルブを絞ろうとする」⇒「勢い余って手でクッカーを倒してしまい料理が台無しに」。というような最悪のシチュエーション・・・・・・。その点カートリッジ側で火力調整できる分離型はストーブ本体さえ安定している場所に置いておけば、カートリッジ側の安定性はほぼ気にしなくてよいのがよい点です。
その他、ゴトクの脚にハイトレベルコントロールフットと呼ばれる、ゴトクの水平レベルを調整して安定性を向上させることのできる10㎜程度の調整幅を持つアジャスト機構があります。これについては“ほぼ”というか“まったく”使うことはないと思います。というのも始めからある程度安定した場所を選んでストーブを置いたほうが手っ取り早いということと、実際のフィールドでいちいち細かな調整をするのは正直煩わしく感じてしまうからです。
その他(Miscellaneous)
まとめ(Conclusion)
最後にこれまでのまとめになりますが、ガソリンストーブのような高い安定性に初心者でも扱いやすいカートリッジストーブの手軽さを兼ね備えたEPI Split S-1026。また高い安定性はもちろんのこと、キメ細やかに火力調整できるマイクロアジャストバルブやSFPMによる安定した炎など、随所に光るEPI独自の技術により機能面でも不満になることはないはずです。
もちろんカートリッジ分離型ゆえの収納サイズや重量面で不利な面はあることは確かなので、自分のキャンプスタイルとストーブの利点と欠点を考えた上で購入することが必要になります。具体的にどんな人におススメかというと、「プレヒートやポンピングなど手間のかかることは極力したくないけれども、ガソリンストーブのような安定性や火力もある程度欲しい」人や、「2〜3人分の料理をまとめて作る機会が多い」などという人におススメのストーブになるでしょう。
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