第10位	Osprey Kestrel 48
	オスプレー ケストレル48

メーカー

良い点

背負い心地が良い
収納し易い
カンガルーポケット有り

悪い点

トルソー調整がとても難しい

耐久性（Durability）

底部には撥水性と耐久性に優れた420Dナイロンパッククロス、上部には引き裂き強度に優れた210ダブルダイヤモンドナイロンリップストップを使用しています。縫い目もしっかりしていて、糸の解れなどもなく、擦れ易そうな場所には補強も入っており安心。ジッパーはYKK社の物を使用しています。とても丈夫で長く使えそうな印象。

背負い心地（Comfort）

Kestrel48の背面システムを紹介します。



背負い心地は、全体的にストレスなく非常にフィット感が良いといった印象。ロードリフターストラップは、パックをしっかり体の方に引き寄せてくれ、体へのフィット感を高くしてくれている感じがします。ヒップベルトは薄く頼りない感じがしますが、特に痛みや不快感などはありません。

背負い心地に関して気になったところが2点あります。1つは、ヒップベルトが大きめで調整代が少なかったこと。自分はウエストが82cmなのですが、薄着で背負ったときにヒップにしっかり乗りませんでした。(ちなみにサイズはM/L)

2つ目は、背中の蒸れです。パックを背負った時のフィット感はバッチリなのですが、背中までしっかりフィットしてしまい、歩いているうちに背中が熱くなってきてしまうのです。もう少しベンチレーションを改善してもらえると、最高の背負い心地になると思いました。

詰め易さ（Packability）

[フロントストレッチポケット]
パックを見た瞬間、パッと目に入るのがこのメッシュのフロントストレッチポケット。このポケットは実にストレッチ性が高く、多少なら大きめのものも入る作りになっています。

試しにパックがフルキャパシティの状態でナルゲンボトルを2本入れてみたら、案外余裕で入りました(笑)。無茶すれば3本目も入りそうな気もしましたが、怖くてできませんでした。しかし、容量的には結構入るので、かなり使い勝手の良い機能だと言えます。

↓実際にナルゲンボトルを入れた状態。これだけは入れば他のものもいろいろ入りますね。


[デイジーチェーン]
フロントストレッチポケットの両脇にはデイジーチェーン、トップリッドにはギアループが付いています。



ギアの外付けにはとても便利な機能です。特にデイジーチェーンはなかなか丈夫な作りになっています。さらにバンジーコードが付いているので、ピッケルなどを取り付けやすくなっています。



[スリーピングパッドストラップ]
パックの下部にボトムストラップが付いています。メーカーHPによると、名称は「スリーピングパッドストラップ」とのこと。その名の通りスリーピングパッドを取りつけるためのストラップ。これが結構長めなので、収納サイズが大きいスリーピングパッドでも比較的簡単に取り付けできてしまいます。

自分のサーマレストのZ LITE SOL(収納サイズ51×13×14cm)を取り付けてみたところ、なんの問題なく簡単に取り付けることができました。大きめのスリーピングパッドを使っている人にはありがたい機能です。また、このストラップは不要な時は取り外せるようになっています。

↓このマットは結構大きい方なのですが、あと少しくらい大きくても取り付けが可能。


[ストレートジャケットコンバージョン]
左右のコンプレッションストラップの連結部は左右非対称となっていて、それらをパック正面で連結することができます。そうすることによってパック正面にスノーシュー等のギアを、簡単に取り付けることができます。メーカーHPによるとこの機能は、「ストレートジャケットコンバージョン」と呼ぶそうです。このアイディアは素晴らしいと思いました。単純な構造ですが、使い勝手も良く非常に便利。

↓連結した状態（横）


↓連結した状態（正面）


[ヒップベルトポケット]
ヒップベルトには大きめのヒップベルトポケット付いています。携行食、デジタルカメラ、ハンディGPS、双眼鏡などなど多少大きくても収納できるサイズとなっています。「せっかくカメラがあるのに入らない」なんて嫌ですもんね。



[固定式トップリッド]
このパックで改善してほしいと思った部分が、固定式のトップリッド。固定式のトップリッドは、メイン気室にたくさん荷物を入れたときにトップリッドがしっかり閉まらない上に、トップリッドポケットが圧迫され、収納できる容量が減ってしまうのです。

トップリッドが上下出来るだけで収納の幅も広がるので、パックの大小に関係なく可動式トップリッドの方が良いかと思います。

↓固定式のトップリッド


[気室切り替えフラップ]
1気室と2気室を切り替えするためのフラップは、ストラップをバックルに通しておこなう方式が採用されています。またまた個人的な意見なのですが、もうちょっと頑強な作りにしてくれるとよかったです。ただ、これはこれでメリットがあり、ストラップの長さを調節することによって、上下気室内の容量のバランスをある程度変えてあげることができるのです。

↓ボトムアクセス側からの写真。下に見えるストラップを中のバックルに通します。


↓パック内の写真。左右2カ所にバックルが見えます。


↓フラップを閉めるとこんな感じになります。ストラップの長さの分だけ気室のバランスを調整するこができます。

ユーザビリティ（Ergonomics）

[ストウオンザゴー]
このパックには、「ストウオンザゴー」と呼ばれる、オスプレーが独自に開発したトレッキングポールアタッチメントがあります。

まず、左側のショルダーハーネスにある、専用のバンジーコードにポールを通します。次に、左側のサイドストレッチポケットの下に専用のループがあり、そこにポールの先端の方を差し入れるとポールの取り付けが完了です。

こんな場所にポールを取り付けてしまうと、一見邪魔なように思えますが、実際に使ってみると邪魔な感じは一切なく、歩行にも支障をきたさないのです。何よりもパックを下ろさなくても、ポールの脱着ができるのが大きなメリット。

[レインカバー]
突然雨が降った時に役に立つのがレインカバー。なんとこのパックにはレインカバーが標準装備になっているのです。フロントストレッチポケットの下にレインカバーのマークがあり、その中に収納されています。中から出すと真っ赤で目立ちそうなレインカバー。視認性はバッチリです。

かぶせてみるとこれが結構大きく、外付けしたギアの分までしっかり覆ってくれるくらいの十分なサイズでした。

また、レインカバーは脱着が可能で、不要な場合は取り外すこともできます。



[ハイドレーションシステム]
ハイドレーションパックは、パック本体内に収納するタイプのものがほとんどだと思います。しかし、このパックは背面パネルの裏側に収納スペースがあり、ハイドレーションパックの出し入れに、バックパックをわざわざ開けなくてもできるようになっているのです。そのためチューブをパック内から引き出す必要もありません。

↓ここにハイドレーションパックを入れます。吊り下げ用のストラップも使いやすくなっています。


[トルソー調整システム]
このパックのトルソー(背面長)調整は少しやりづらく面倒。背面のパネルをパック本体から剥がし、ショルダーハーネスを上下に動かすことで調整をおこないます。しかしこれが思ったより手間なのです。

背面ハパネルはマジックテープでパック本体に留められています。しかし、このマジックテープの面積が広すぎて剥がすのに一苦労。

しかもトルソーの長さの表示がcmではなくマークになっているので、自分のトルソーの長さがわかっていても、すぐに合わせることができません。この部分は改善してほしい点です。

↓トルソー調整のシステム。一度外すだけでも苦労します。

重量（Weight）

重量は1580g(M/Lサイズ)と、容量の割に軽め。スモールサイズでもこれより重いパックかがあるくらいですので、重量の面では優れているのだと思います。

まとめ

使用した感想は、所々にオスプレーならではのアイディアが盛り込まれているなと感じました。この工夫がパックの使いやすさにしっかり表れています。収納性に関しては、パックの外の収納が他のパックより優れていると思いました。スリーピングパッドストラップやストレートジャケットコンバージョン等の機能が、ギアの外付けを簡単にしています。「外付け大好き!!」という方にはもってこいのパックです。
背負い心地も良かったので、全体的に優れたパックだと思います。価格もこのサイズのパックにしては比較的安くなっています。