GWear(グウェア)では函館を拠点に登山ギアのテスト → ランキング → レビュー記事の作成を行っています。
バックパックのランキング(全タイプ, 総合スコア)
第19位 | Montbell Trekking Pack 55 |
モンベル トレッキングパック55 |
79.0 |
24,800円 |
背負い心地 | ||
詰めやすさ | ||
耐久性 | ||
ユーザビリティ | ||
重量 |
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メーカー
モンベルは1975年に辰野勇氏と、2人の山仲間、真崎文明氏、増尾幸子氏と共に 日本の大阪市西区立売堀に設立しました。社名の由来は、フランス語で「美しい山」という意味です。創業以来“Function is Beauty(機能美)”と“Light & Fast(軽量と迅速)”をコンセプトに商品開発を行っています。商品ラインナップが豊富でなんでも揃っていますが、レインウェアや寝袋が有名です。特に寝袋に関しては海外でも高い評価を得ています。モンベルから1982年にスタートしたラインがZERO POINTです。
良い点
・トップリッド内にレインカバーを収納
・大容量のフロントポケット
・大きくU字に開くフロントアクセス
・ギアループは2つ
・トルソー調整が素早くできるクイックアジャストシステム
・中身が落ちにくく、また中が見やすいトップリッドポケット
・自由に位置調整が可能なヒップベルトのパッド
悪い点
・ストラップ類は短いので外付けしにくい
・ギアストラップの使い勝手はイマイチ
・熱がこもりやすい背面構造
・1リットルのナルゲンボトルにはやや浅めのサイドポケット
・ウエストベルトポケットの容量は浅め
耐久性(Durability)
メインの素材はナイロン・リップストップで330Dと他のパックとほぼ同等のデニール数の素材に。対してボトムは1000Dのバリスティックナイロンで耐摩耗性が考慮された厚手の素材が使用されています。特に手荒な扱いをしない限りは耐久性に不安はないでしょう。
背負い心地(Comfort)
背面のEVAフォームをはじめショルダーハーネス、ヒップベルトはクッション性が非常に高く、その高いフィット感と快適性は背負った直後から感じることができます。
3ウエイヒップベルトという、ヒップベルトの位置を自分の腰骨の位置にあわせて自在に調整できる機能により、腰周辺に適切に加重を分散させ快適な背負い心地を約束。長時間の歩行でも痛みや疲労感が出にくいヒップベルトです。
次にエアー・スルーバックパネルと呼ばれる背面構造は、EVAフォームをブロック上に配置してエアーの通り道を確保。ベンチレーションを高め背中の蒸れを低減してくれるシステムのようですが、効果はイマイチのように感じました。
というのも、ブロック間の溝が浅いせいなのか、その部分にウエアが入り込むことでブロックの効果を発揮しにくくなっているのだと思います。また高密度のEVAフォームは他のパックに見られるようなメッシュ生地よりも熱を溜め込みやすく、気温の比較的低い季節にも背中が蒸れるような感じたのも印象的でした。
次にロードリフトストラップの効きの悪さ。このパックは背面寸法を48㎝〜58㎝まで調整できるのですが、背面寸法が54㎝くらいになるとロードリフトストラップの引き代がほとんどなくなりショルダーハーネスを十分に引き上げられなくなります。これでは十分なフィッティングができないばかりか、肩へかかる負担が増えてしまい疲労を感じる原因になります。
ショルダーハーネスやヒップベルト、背面のEVAフォームパッドのクッション性は良いものの、ベンチレーションが今ひとつだったり、ロードリフトストラップが効果的に使えないなど、重量のある荷物を背負うには何か物足りない印象を受けてしまうようなパックという印象です。テストした限りでの快適に背負える重量でいうと、パックを入れた総重量で16Kg程度が上限というのが正直な感想です。
詰め易さ(Packability)
このパックは背面のアーク(弧)が緩やかなので、メイン気室へのパッキングがしやすいのが特徴的です。パッキング面で特に良いと感じたのがフロントポケット。フロントポケットはパック内がパンパンの状態でも、容量が圧迫されることのない立体形状なので使い勝手がとても良いです。使う頻度の多いものや小物類の収納にまさにぴったりで、メイン気室が荷物を詰め込んだ後にもどんどん収納することのできるポケットです。
次にボトムアクセスを兼ねたフロントアクセス。開くとパック内部のほぼ全ての部分にアクセスできてしまうほど大きく開きます。ジッパーのスライダーはもちろん2つあるので、全て開かなくてもアクセスしたい部分だけを部分的に開くこともできます。また大型のジッパーは丈夫なだけではなく、グローブをしていてもつかみやすいです。
次に不満な点を1つ。ボトムストラップはとても短かく、よほど薄手のマットでもない限りCCフォームのスリーピングマットは外付けできそうにありません。これは本当に残念な点。CCフォームマットは、エアーマットやセルフインフレータブルマットなど空気注入式のマットをメインとして使うときも、夏場は不用意なパンクの危険性を減らすためにそれらの下に敷いたり、冬はより断熱効果を高めるための2枚目のマットとしてほぼ必ず持って行くほど使用頻度の高いアイテム。これが留めづらいのは使い勝手の面で本当に残念と言わざるを得ません。
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ユーザビリティ(Ergonomics)
モンベルはバックパックを専門とするメーカーではないのですが、テストしていて”ここは良い”と感じた点がいくつか。
まずはトップリッドポケット。大きく開いて中が見やすいのと、横開きなのですが開いても中身が落ちにくい作りになっています。また2つあるので小物類の整理して収納できるのに加え、メインのポケットのジッパーはアクアテクトジッパー(止水ジッパー)なので多少の雨なら水の侵入を防いでくれます。またトップリッドは取り外せるので単体でアタックザックとしても使用可能に。さらにレインカバーが標準装備なのは嬉しい点です。収納場所はトップリッド裏にあります。
トップリッドのメインポケットとフロントポケットのジッパーはアクアテクトジッパー(止水ジッパー)になっていて雨の侵入をしっかりとガード。さすが日本のメーカーだけに比較的雨の多い日本の気候に合わせられた機能性の高い特徴です。またレインカバーと併用することでより防水効果が高まるのは間違いなしです。
ギアループのアタッチメントはベルトとバックルで固定できるようになっています。ただし、ピッケルなどを留めるためには、いったんバックルからベルトを外さないといけないので、グローブをしているとこのような細かい作業は面倒な部分でもあるのが細かな点ではありますが気になってしまう点です。
ボトルホルダーは上と斜めからの2方向からアクセスできるようになっています。ただし、斜め方向から入れるには深さがやや不足していて、ここを使う場合には屈んだ際などボトルの落下に注意が必要になってきます。
重量(Weight)
重量は2,2kg弱とこのサイズのパックとしては平均的です。重量と耐久性を程よくバランスさせているモデルになっています。
まとめ
ボトムストラップが短くCCフォームマットが外付けできないことを除けば、Montbell Trekking Pack 55は一通りの機能性が備わり、パッキングもしやすく、これといった大きな不満もなく初心者にも比較的使いやすいパックです。
容量も55ℓと2泊〜3泊程度のテント泊や山小屋泊にもぴったり。またギアループもしっかりと装備されているので、アイスアックスやショベルなどを必要とする冬季のアクティビティにも対応しています。それでいて標準装備のレインカバーやアクアテクトジッパーなど防水対策にも抜かりはありません。
季節に関わらずシーズンを通して活躍できるようなモデルになっていますが、とりわけ2泊程度の山小屋泊やテント泊にオススメのパックになります。
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