第1位	Gregory Baltoro 65
	グレゴリー バルトロ65

メーカー

良い点

・大きくU字に開くフロントアクセス
・フロントポケットにはレインカバーを収納
・ホールド性抜群のサイドメッシュポケット
・内部のハイドレーション用パックはサブパックとして使用可能
・トップリッドポケットはジッパーが上部にありアクセスしやすく中身が落ちにくい
・レスポンスAサスペンションにより体の動きに合わせてハーネス/ベルトが追従
・滑り止め付きの背面底部は歩行中のズレを最小限に
・YKKアクアガードジッパーの密閉型ヒップベルトポケット

悪い点

・大柄なウエストベルトは腰回りが細めの人には最適なフィット感が得られない傾向に
・CCフォームマットが留めにくい位置にあるボトムストラップ
・トルソーの調整幅はほとんどなし

耐久性（Durability）

重量相応の耐久性といったところでしょうか。ストラップ類、本体やボトムに使われている生地を見る限り、普通に使っていて不安になるような部分は一切ありません。いたずらに厚い生地を使い重量を増やしてまで耐久性を高くするようなことはせず、使い勝手とのバランスを考え必要にして十分の耐久性があるのではないでしょうか。

背負い心地（Comfort）

バックパックを背負った瞬間から、ショルダーハーネスやヒップベルトのフィット感、クッション性が他のパックとはまるで違うことにまず驚かされます。

そして高いクッション性がありながらも、ハーネスやベルトの”滑り感”や”ずれ感”など違和感は皆無で、軽く締めただけでもその快適さは他のどのパックよりも頭一つ抜きん出ています。これには本当に驚き。

テストでは総重量を23kgと、バルトロ65のメーカー推奨最大積載重量(22.7kg)とほぼ同じ重量にして背負ったにもかかわらず、まだまだ詰めそうと思えるほど何事も無く快適に背負えます。

ウエストベルトやショルダーハーネスはまるで自分の骨格の一部だといってよいほど体との一体感が高く、また腰骨や肩周りなど荷重をかけてほしい部分に確実に加重をかけてくれるのですが、どこか一点に集中することがないので、長時間背負っても痛みが出ずに疲労感を確実に軽減してくれます。

しかもバルトロにはカスタムフィットと呼ばれる、ショルダーハーネスやウエストベルトを自分の体型に合わせてカスタマイズのできるモデルなのですが、ネットで買ったこのパックはもちろんカスタムフィットなど一切なし。それでもこの快適さにはただただ驚くばかり。

背負い心地のよさは単にヒップやショルダーハーネスのクッション性の高さだけではありません。レスポンスA3(オートマティック、アングル、アジャスト)サスペンションと呼ばれる背面システムは、歩く地形や状況によって変化する腕、肩、腰の動きに追従性し、どのような状況でもパックの荷重を確実にサポートしてくれます。



個人的に気に入っているのが“ウルトラクラッシュ・バックパネル”と呼ばれる背面構造。湾曲した背面はベンチレーションを程良く確保するとともに、腰部に施されたシリコンの滑り止め加工は歩行時のパックのずり下がりを抑えてくれます。このおかげで背負い始めから1日の終わりまでとても快適な背負い心地を約束。



快適さに関してはオスプレー アトモスAG65も負けず劣らずなのですが、パックの重量が20kgを超えるような時はこのバルトロ65に軍配が上がります。背負い心地に関してはまさにパーフェクト。それほど快適なのがこのGREGORY BALTRO 65です。

詰め易さ（Packability）

背負い心地の良さに加えパッキングのしやすさも優れているのがバルトロ６５です。基本的にパック背面はそれほど湾曲していないので、内部へのアクセス性が高くパッキングしやすいです。またパック前面には大きくU字に開くフロントアクセスもあるのでパック内のものが一目瞭然。取り出したい物をすぐに取り出すことができます。突然の雨でレインウエアが必要な時など、パック上部を開いて探すようにしながら取り出す必要がないのは大きなメリットになります。

フロントポケットも容量が大きく、メインコンパートメント内に物がパンパンに入った状態でもポケットの容量を圧迫しない立体的な形状なので容量以上に余裕を持ったパッキングをすることができます。またサイドストラップ、ボトムストラップはともに十分な長さが確保されているので、スリーピングマットやテントポールなど、パック内になかなか収納しづらい物への対応性の高さも持ち合わせています。
詰めやすさと同時に内部へのアクセス性の良さを高次元でバランスさせているのがこのバルトロ65です。

ユーザビリティ（Ergonomics）

バルトロ６５はその背負い心地の良さだけではなく、ユーザビリティもオリジナリティに溢れ、テストしたパックの中でもとても使いやすさの高いモデルの１つです。

まずPTUコーティングの密閉型ヒップベルトポケットは他のどのパックにもないユニークな収納。さすがに非防水の電子機器をそのまま収納するには不安がありますが、ジップロックなどの防水対策と併用するとより安心なのは間違いなしです。

次にトップリッド。２箇所ある開口部は上向きなので中の物が落ちにくく、かつ視認しやすいのが素晴らしく良い点。まれにジッパーを開けた途端に中の物が堰を切ったように流れ出てくるトップリッドポケットもありますが、そのような心配とは無縁なポケットです。メインコンパートメントのドローコードは引き手が大きく、冬にグローブをしていてもごく自然に開閉できるはとても良い点です。さらにはギアループもきちんと2箇所あるので、アイスアックスやトレッキングポール、スノーショベルなどギアの数が増えがちな冬季の山行にもしっかりと対応しています。

ドリンクボトルホルダーは１ℓのなるゲンボトルをしっかりとサポートしてくれるサイズになっているのに加え、ホルダー入口にストラップが付いているので前かがみになってもボトルが落ちにくくなっています。また使わない時には折りたたんでパック内に収納できるのも細かい点ですが気の利いたポイントです。











逆にやや不満だった点を挙げるとすると、まずレインカバーの収納について。レインカバーはフロントポケット内に収納されているのですが、ポケットに物を入れてしまうと中のレインカバーが取り出しづらくなってしまうのがマイナス点と言えばマイナス点です。

またその他に気になったのがボトムストラップのレイアウト。長さは十分でCCフォームのマットも余裕を持って留められます。ただストラップはパックの背面側から伸びているので、マットを留めた時の位置がちょうどパックのボトムにきてしまいます。この位置ではパックを地面に立てて置く時に不安定になってしまうのがやや難点。

重量（Weight）

2.3Kgという重量はこの容量のパックにしては平均的な重量になります。バックパックは背負った時の快適性によっても重量感が大きく変わります。快適性の高いこのパックは長時間背負っていても重量以上に軽く感じれられることはもちろんのこと、長期縦走で連日のロングトレイルでも体に溜まる疲労が軽減されることでしょう。軽量化と耐久性・背負い心地は一般的にトレードオフの関係にあるのですが、逆にこの重量でこの背負い心地を実現している点が驚きだとも言えます。

まとめ

装備の重量が増えてもとにかく安心の背負い心地を提供してくれるのがバルトロ65。クッション性の高いハーネス類と体の動きに合わせてくれるレスポンスAサスペンションは、他の追随を許さない素晴らしい快適さを実現しています。また、大きなフロントアクセスや容量の大きなフロントポケット、ユーザーフレンドリーな使い心地のトップリッドなど、背負い心地に負けず劣らずのパッキング性の高さやユーザビリティも特筆すべきものです。

背負い心地を始め、まさに非の打ち所がないようにすら感じられるほどの完成度のバルトロ65。どのようなシーンにオススメかというと、やはり荷物の重量が増えがちな３泊以上のキャンプや縦走、またウエアやギア類が多くなる冬季のアクティビティにぴったりです。とにかく荷物の量が多い時やここぞという時には”このパックしかない”と思わせてくれるほど頼りになるパックです。